THE TREE OF LIFE ~生命の木~

世界日記 (本編)


   
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他人を養っていけるだけの力も覚悟もない男がエッチをする時は、必ず避妊具を使用しなくてはならない。
これは一つの常識で、理由を書く必要もないだろう。
同様に、経済力のない人間が低予算でヨーロッパを旅する時、絶対にやってはならない事が一つある。
それは、「タクシーの利用」だ。
ドイツやフランスなどEUの経済国においては、そもそも乗車賃事体が非常に高いし、物価が安い国々を周る時も、日本人(東洋人)はボラれる可能性が高いからだ。
そういった事から、ある程度の距離なら歩くよう努力し、長距離移動にはなるべく公共の交通手段を利用するよう心掛けるのが鉄則と言える。
したがって貧乏旅行者にとっては、急がない事、つまり「時間と気持ちに余裕のある計画」こそが避妊具となるのだ。
そんな事、僕は最初から分かっていた・・・なのに・・・。

2004年11月17日、ブルガリアの首都ソフィア。
僕は必死でバス乗場を探しながら走っていた。
中途半端な都会の風景が、僕の視界から流れ去って行く。
あんなに走ったのは、高校時代の部活以来だろう。
ブルガリア正教の総本山・リラの僧院、そこ行きのバスは一日に一本しか出ないという。
「急がなきゃ!」・・・僕は焦っていた。
時間が刻一刻と過ぎて行く中、僕は寝坊をしてしまった事を悔やんでいた。
綺麗なお姉さんが経営するプライベート・ルーム、昨日お世話になったそこの居心地は良すぎた。
ドイツに留学経験があるブルガリア美人との雑談は本当に楽しく、鼻の下が伸びきった僕が時計の針を気にするはずもなかった。
こうして、午前3時をまわった頃ようやく眠りについた僕は、予定通りの時間に起きることはなかったのである。
バス乗場というゴールを目指し、ギャラリーのいない歩道をただひたすら走る・・・。
重いバックパックと長旅の疲れを背負っていた僕が、この壮絶なロードレースから棄権するのに、そう時間はかからなかった。
余裕という避妊具をブルガリア美人の部屋に置き忘れた僕は、・・・ついに禁断の右手をあげてしまった。
そう、車道を走っていた黄色いベンツに・・・。

最初の異変に気付いたのは、このタクシーに乗った直後のことだ。
僕が現地通貨ではなくユーロで支払えるかどうかを尋ねたら、男は「Yes」と言って首を「縦」に振った。
・・・おかしい。
その後も流暢な英語で世間話を続ける運転手・・・。
このブルガリアという国では、一般的に「Yes」の時は首を「横」に、「No」の時は「縦」に振るのだ。
つまり、我々の頭にあるジェスチャーと全く逆というわけだ。
それにこの流れるような英語・・・。
「この運転手、相当観光客慣れしている!」そう思った。

第二の異変は「メーター」だった。
明らかに上がっていくスピードが早い。
すぐさま運転手にその事を指摘したのだが、彼は涼しい顔でこう言った。
「最近、どうも調子が悪くて・・・。着いた後ちゃんと距離で計算するから」と。
悪質な詐欺師の臭いは、確実に奴の体から放たれていた・・・。

最後に気付いた異変は「所要時間」だった。
地図上ではどう考えても15分もあれば着くはずが、何故か20分を過ぎてもバス乗場に到着しない。「適当な所をグルグル廻っているのではないか?」そう予想できた。
僕は詐欺師に停車するよう注文したが、奴はまたもや笑顔でこう言い放った。
「すぐ着くから!」・・・。

ようやくバス乗場に着いたのは、僧院行きのバスが出発する10分程前だった。
トランクを開け荷物を取り出そうとした瞬間、糞野郎が運賃を請求してきた。
「50ユーロでいいや!」・・・、はぁーーー???
僕が必死で拒んでも、奴は一切値段を下げない。
苦肉の策で「警察を呼んで、距離を計算してもらいたい」と告げると、悪質ドライバーは勝ち誇った顔でこう話した。
僕はその言葉に耳を疑った。
「どうぞ!警察でも何でも呼んでください!でもそんな事してたら、お前リラの僧院に行けなくなるよ!」
このチンポ野郎は、初めから知っていたのだ!
僕が何処に行きたいのかも、そこ行きのバスが一日一本しか出ない事も!
ヤラれた!!
完全に、ヤラれた・・・。

他人を養っていけるだけの力も覚悟もない男がエッチをする時は、必ず避妊具を使用しなくてはならない。
安心で快楽な性生活には、避妊具が必要不可欠だからだ。
同様に、安心で快楽な貧乏旅行を味わいたいのなら、「余裕」というコンドームを常に財布に忍ばせておかなくてはならない。

リラの僧院

↑リラの僧院を眺める僕の寂しげな横顔



2004年11月17日の思い出
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