THE TREE OF LIFE ~生命の木~

世界日記 (本編)


   
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1926年、市電にはねられて命を落とした時、あまりにみすぼらしいその服装から、彼は浮浪者に間違えられたという。
カタルーニャ生まれの天才建築家、アントニ・ガウディ・イ・コルネットにまつわる最後のエピソードである。

2004年春、行き先をスペインに決めた僕は、「スペイン・サッカーの旅」というテーマを掲げバルセロナに向かった。
自由気ままな一人旅とはいえ、出発前にはある程度の目的と、それに基づいた計画を立てておくのが基本だ。
それによって、無駄のない有意義な行動をとれるからである。
週末には試合を観戦したい。
世界のビッグネームが名を連ねるレアル・マドリッドや、孤高の天才・ロナウジーニョ率いるF.C.バルセロナなどの試合を。
平日はスタジアム見学ツアーだ。
五つ星スタジアムのカンプ・ノウと、そこに併設する博物館、時間があれば練習見学なんかもいいだろう。
この時僕は、そんなサッカー尽くしのプランしか立てていなかったのだが・・・。

3月12日金曜日、僕はバルセロナに到着した。
安宿にチェックインを済ませた後、街を歩いていて感じた違和感・・・。
ありとあらゆる所に黒い布が飾られていた。
「どんな意味があるのだろう?」そう思いながら歩いていると、大人数の集団が占拠する広場に出た。旗に書かれていた文字や、祈りを捧げる人々の姿から、それが先日マドリッドで発生したテロに対するデモであることが分かった。
いたる所で見かけたあの黒い布は喪章だったのだろう。
その日はカタルーニャ人の平和への想いに圧倒されたまま、僕は眠りについたのだった。

一週間が過ぎた後も、僕はまだバルセロナにいた。
本来の予定では、もうマドリッドに移動しているはずだったのだが・・・。
僕はこの街の雰囲気と、幻想的なガウディ建築に心奪われていた。
ガイドブックに載っていたいくつものガウディ建築を巡る毎日。
気が付けば、旅のテーマも「スペイン・サッカーの旅」から「カタルーニャ建築の旅」へと変わっていた。
正統派(?)旅人からすれば、本末転倒だと笑われるかもしれない。
しかし、僕に目的を変えさせるだけの魅力が、この街にはあったと思っている。

ジャッキー・チェン、サモハン・キンポー、ユン・ピョウ、若かりし頃の香港三羽烏がバルセロナを舞台に活躍するカンフー映画の超大作「スパルタンX」。
あの映画で、縦横無尽に動き回る香港三大スターを輝かせたのは、間違いなく背景を彩るカタルーニャ建築だった。
印象に残るワンシーンを思い浮かべながら街を歩くと、自然と笑みがこぼれてきた。
カタルーニャ建築の中には、ガウディだけでなく、ドメネク・イ・モンタネールの作品もある。
カタルーニャ音楽堂やサン・パウ病院などがその代表作だ。
サン・パウ病院、映画の中でユン・ピョウの父親が入院していた病院だ。
とても病院とは思えないような立派な建物で、「ここなら入院してみるのも悪くない」と思ってしまった。
バルセロナの良いところは、なにも建築物だけではない。
週末にカテドラル周辺で行われるカタルーニャの踊り「サルダーナ」、コロンブスの塔から見下ろす活気溢れる町並み、治安が悪いと噂されるランブラス通りも意外に居心地が良かった。
食事をする時にハズレを引かなかった事も良い思い出の一つだ。
タラゴナやモンセラットにも日帰りで行くことができた。
ラス・ファジャスという祭り目的で、途中2日だけヴァレンシアに浮気してしまったが、12日間カタルーニャを満喫した旅だったと思う。

ちなみに、サッカー観戦もしっかりやってきた。
レアル・マドリッドの試合(国王杯)をバルセロナで見ることができたのだ。
サラゴサ相手に負けはしたものの、フィーゴのドリブルやロベルト・カルロスの強烈な左足、ジダンのテクニックやベッカムの美顔などを拝むことはできた(ロナウドは欠場)。
F.C.バルセロナの試合もちゃんと観戦し、ロナウジーニョのゴールには興奮した。
しかし、この旅行を通じて一番印象に残ったのは、やはり個性的な「ガウディ建築」と「カタルーニャ人の平和への願い」だった。

1926年、市電にはねられて命を落とした時、あまりにみすぼらしいその服装から、彼は浮浪者に間違えられたという。
あれから80年近くが経過した今も、斬新で幻想的なガウディ建築はカタルーニャの人々の象徴として、世界の平和を見守っている。
二度と喪章を付ける日が来ないことを、心から願っている。

カサ・ミラ

喪章を付けた世界遺産、カサ・ミラ(ガウディ建築)



2004年3月12日~24日の思い出
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