THE TREE OF LIFE ~生命の木~

世界日記 (本編)


   
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

僕は東京が嫌いだ。
理由は、僕が大阪人だから・・・。
東京タワーよりも通天閣の方が美しい塔であり、新世界の方が浅草よりも愛らしい下町だ。
阪神タイガースこそ世界最強球団であると信じ、読売新聞など便所紙だと思っている。
・・・しかし、そんな事を言いながら、僕はよく東京に遊びに行く。
去年の年末に一時帰国した際も、僕は都内に住む友人宅に一週間ほど滞在し、大都会を色々と観光させてもらった。
ドイツで知り合った友人二人に連れられ、東京タワーにも上ったし、六本木ヒルズにも足を運んだ。
世界の経済をリードする大都会の町並み、出玉還元率が高いスロット(パチンコ)店、すれ違うオシャレなトーキョー・ガールズ・・・悪くない。
よく記憶を整理してみると、特に東京で嫌な思いをした経験はなかった。
数年前に東京ドームで観戦したK-1グランプリ、歌舞伎町の夜、ヤキトリに東京バナナ・・・。
どれもこれも良い思い出ばかりだった。
まぁ、高校時代に一度だけお兄さん方から都会の洗礼を受けた事はあったが・・・。
ただの東京コンプレックスだと気付きながらも、やはり僕は母国の首都を好きにはなれない。
しかし、嫌いな街を訪れてもそれなりに楽しむ才能が僕には備わっている。
やはり、僕は優秀だ。

2005年9月22日、僕はフランスのパリにいた。
三ヶ月ぶり四度目のパリ・・・、欧州の中で僕が最も忌み嫌う観光地の内の一つだ。
元々、行きたくも行くつもりもなかった。
ただ8月末に購入したインターレイル・パスの有効期限がもう一日残っていたのだ。
マンハイムから旅立ち、観光後その日の内に帰ってこれる欧州諸国となると、当然限られてくる。
「オルセー美術館に行きたい!絶対行きたい!」・・・こうして、日本から遊びにきていた頭の悪い女の子の一言によって、僕のおフランス行きが決定されたのである。

僕は美術館が嫌いだ。
理由は、僕が芸術に疎い人間だから・・・。
ミケランジェロの彫刻を鑑賞するよりも甘いモンブランを食べている方が癒やされるし、フランス美人の笑顔の方がモナ・リザよりも美しい。
サッカー観戦こそが世界最高の芸術鑑賞と信じ、美術館(博物館)などは公衆便所以上に退屈だと思っている。
しかし・・・、そんな事を言いながら、僕はよく美術館(博物館)に足を運ぶ。
サッカー博物館は勿論のこと、去年はバルセロナのピカソ美術館を訪ねた。
今年もフィレンツェのウッフィツィ美術館に行ってきた。
歴史の悲惨さを今に伝えるポーランドのオシフィエンチム博物館(アウシュビッツ強制収容所)に関しては、二年連続で訪問している。
よく記憶を整理してみると、特に美術館(博物館)で嫌な思いをした経験はなかった。
自分で考えている以上に、実は勉強になっている事が多い。
今回は、彼女がオルセー美術館に行っている間、僕はルーヴル美術館を訪ねてみた。

パリ1

↑フランスが誇るルーヴル美術館



入館直後、僕は悩んだ。
想像以上に重苦しい雰囲気・・・。
身なりの良い文化人や大量の観光客が、僕が名前も知らない芸術家の作品を静かに、そして楽しそうに眺めていたのだ。
悔しいが、あんな優雅な楽しみ方は僕には出来ない・・・。
僕は必死になって自分なりの楽しみ方を模索した。
興味のない分野において自らを奮い立たせるには、ある目標を掲げ、自分に試練を与えるのが一番有効だ。
そこで悩んだ末に僕が考え出した挑戦、「打倒警備員!ルーヴル美術館内完全走破!」・・・。
入場口で入手した館内の案内書を片手に、写真付きで紹介されている作品(簡単に言えば有名な芸術作品)を全て周り、それらを写真に収めるというもの。
ミーハーの、ミーハーによる、ミーハーのためのラリー・ゲームである。
制限時間は彼女との待ち合わせまでの3時間半、ルーヴル美術館の広さを考えると、簡単な挑戦ではなかった・・・。

パリ2

↑瀕死の奴隷(ミケランジェロ作)



こうして始まった愚か極まりないラリー・ゲーム・・・。
幾つもの障害が僕の行くてを阻んだ。
その中で、最も手強かった障害は警備員の存在だったと言えるだろう。
作品の老化防止のためか、撮影禁止エリアの警備員達は皆、鋭い目つきで見張っていた。
ポケットからデジカメを取り出した瞬間、「ノン フォートー スィルブプレ!!」という叫び声が館内にこだまする。
言うまでもないが、これは・・・非常に恥ずかしい。
他の客の視線が一斉に無礼な東洋人に集中するからである。
羞恥プレー・・・、(僕はMだから)嫌いではないが・・・。
とりあえず「(撮影禁止だと)知らなかった」という意思を伝え、詫びを入れた後すぐにその場を離れる。
ここで学んだ事、警備員に感づかれない角度を一瞬で探し出し、さり気ない一連の流れの中でスムースに撮影を行わねばならないという事・・・。

警備員の威圧感を感じるのは、何も撮影禁止エリアの中だけではない。
広い館内を限られた時間内に観て周るため、廊下や階段は出来るだけ素早くパスしなくてはならない。
当然、随所で警備員から注意が入る。
撮影に比べると、警備員の怒りも、こっちが受ける恥ずかしさも穏やかだが、逆に時間と手間のロスになってしまう。
ここで学んだ事、廊下や階段はまるで競歩選手のように、静かながらもスピーディーに歩かなくてはならないという事・・・。

次に現れた障害は、中国人の団体観光客だった。
彼らはガイドという力強い武器を利用し、ピンポイントで各有名どころを占拠してしまうのだ。
しかもかなりしつこく、その場をなかなか離れない。
ガイドの説明が終わると、当然撮影タイムが始まる。
人数がハンパじゃないため、その時間がとにかく長い・・・。
しかし、日本人の僕ならではの対策法により、意外にあっさりその場を切り抜ける事が出来た。
ここで学んだ事、中国人になりすまし自ら団体に溶け込み、最高の撮影ポイントへ身を進めなくてはならないという事・・・(ついでに、同じ東洋人という事で、オバちゃんたちに自分と作品との写真を撮ってもらえればなおベター)。

パリ3

↑アフロディテ(ミロのヴィーナス)



様々な困難を乗り越えながら、僕は必死で芸術品を観てまわった。
しかしやはり、ここは世界でも有数の巨大美術館。
最大にして最強の障害は、時間だったのだろう。
とてもじゃないが、3時間半では不可能だった。
最上階をほとんど観る事が出来ずにタイム・オーバーを迎えてしまったのだ。
残念だが、今回は僕の負けである・・・。
こうして、彼女と合流した後、僕らはパリの街を数時間観光してからマンハイムに戻った。

やはり僕は、パリも美術館も好きにはなれない。
理由は、雰囲気・・・とでも言うのだろうか。
しかし、どのような状況であってもそれなりに楽しむ才能が僕には備わっている。
やはり僕は、優秀だ。

パリ4

↑ニューヨークではなく、パリの自由の女神



この旅行記では、話を面白くするため、大げさに脚色を加えて載せている。
あたかも自分の経験であるかのように書いてはいるが、「警備員に注意された」というのも、他人がそうされているのを目撃したにすぎない。
撮影禁止エリアでの撮影や、館内での非常識な行動は、個人としてだけでなく、日本人全体のイメージ・ダウンにつながる。
よって、ある程度のルールとマナーを守った上で、自分なりの楽しみ方を考え行動出来る人こそが、優秀な旅人であると思う。
でも、「モナ・リザの撮影くらいは・・・」とも思うのだが・・・。

2005年9月22日の思い出
proudjapanese
スポンサーサイト

コメントする
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
http://proudjapanese.blog53.fc2.com/tb.php/49-c1627fdf
トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。